投資家が再び固定利付資産の価値を認識するにつれ、$63兆ドル規模の世界債務市場のほぼすべての部分で債券が回復しつつある。
ブルームバーグの指数によると、世界の投資適格債は5月に約11兆円3000億元下落し、7月以来の月間上昇となった。一方、米国債は11月以来の高値圏にある。世界の社債の指標である債券は7月以来最大の上昇となる見込みで、メキシコからマレーシアに至る新興国国債も上昇している。
投資家は、回復の理由としていくつかの点を挙げた。世界経済が景気後退の瀬戸際にあるという兆候、中央銀行の利上げが既にほぼ織り込まれているという憶測、そして利回りが魅力的になるほど上昇しているという単純な事実などだ。
「世界の債券は年内はプラスのリターンを生み出すと予想しています」と、米国債を保有するアセットマネジメントOne(東京)のグローバル債券マネージャー、武井明氏は述べた。「債券に価値を見出す投資家が増えたことで、利回りは高値から低下しています。債券市場にとって最悪の時期は過ぎました。」
年金基金や保険会社を含む資産運用会社は先週、国債への強気な投資を2020年4月以来の高水準にまで増やした。一方、JPモルガン・アセット・マネジメント、モルガン・スタンレー、パシフィック・インベストメント・マネジメントはいずれも、世界的な国債売りの最悪期は過ぎたようだと報告した。
債券価格の反発により、米国10年債利回りは5月初旬に記録した3年ぶりの高値3.20%から2.84%に上昇した。同年限のドイツ国債利回りは、3週間前の高値1.19%から1.06%に低下した。
「債券への配分を増やすには良い時期だ」と、JPモルガン・アセット・マネジメントの香港拠点アジア市場チーフストラテジスト、タイ・フイ氏は述べた。同氏は1兆4千億米ドルの運用資産を保有している。「債券の格下げに伴い、信用スプレッドや無リスク金利を見れば、債券の世界は再び魅力的に見え始めている」
しかし、新たなインフレ懸念が早期の回復を阻害する可能性がある。ドイツの記録的なインフレ率は、月曜日にドイツ国債の売りを誘発した。米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォーラー理事が、物価圧力が目標水準に戻るまで、借入コストを0.5%ずつ引き上げ続ける計画を示したことを受け、火曜日のアジア市場では米国の指標金利が10ベーシスポイント上昇した。
債券市場全体においても出遅れ銘柄は存在する。
新型コロナウイルス関連のロックダウンや、打撃を受けた不動産市場の不透明感が中国国債の購入意欲を削いでおり、投資家は依然として懐疑的だ。利回りは全般的に上昇しているものの、アジアの投資適格債を含む一部のセクターでは信用スプレッドが依然として拡大しており、債券市場の回復が持続可能かどうか疑問視されている。
「クレジット投資家は、近い将来に起こり得る急激な変動に備えるべきだ」と、シンガポールのabrdnでアジア太平洋地域社債部門責任者を務めるポール・ルカゼフスキー氏は述べた。「当社は引き続き、中国をアジアにおける最大の信用リスク源と見なしている」
先週、国営企業のグリーンランド・ホールディング社が予想外に国債償還の延期を提案し、高格付けの中国系不動産開発会社による影響拡大への懸念が高まった。一方、スリランカ国債市場はデフォルトに陥り、パキスタンに対する懸念も高まっている。
高格付けの信用は2022年初月の収益化に向けて順調に推移
中国に関してさえ、より楽観的な見方をする人々もいる。シンガポールのブラックロックのアジア・クレジット部門責任者、ニーラジ・セス氏は、アジア社債は、経済減速はまだ遠いと考える投資家をまもなく惹きつける可能性があると述べた。
「もし今、景気後退を懸念していないのであれば、クレジットや債券の面で市場への魅力的な参入ポイントに近づいている」と、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。さらに、アジア市場については、「投資適格債には強気であり、ハイイールド債にも厳選して強気だ」と述べた。
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